子どもの自閉スペクトラム症(ASD)はどんな症状?早期発見・早期療育のために知っておきたい特性とは。

こんにちは、ハナブーです。発達障害と一口でくくられても様々な状態やその子の特徴や特性があります。普段支援にあたっているのは診断も付かないいわゆる”グレーゾーン”と呼ばれる子たちです。

そんな中、一部の子たちは診断を受けて、適切な支援を受けています。その診断のひとつである自閉スペクトラム症の症状や特性について解説していきます。

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder「ASD」)とは、コミュニケーションが取りにくい、人との関りが苦手、強いこだわりがみられるなどといった特性がある障害です。

本記事の項目に当てはまる内容が多く、「周りの子どもと比べて非常に変わっている気がする」「目が合わない」「会話が成り立たない」など、発達段階で気になることが増えてきていると感じるようであれば早めに専門機関に相談するのも良いかもしれません。

自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症とは、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」の3つの発達障害を総省したものです。

・自閉症

自閉症は知的障害や言葉の遅れを伴い、コミュニケーションや人との関わりが困難である。

・高機能自閉症

人と関わることやコミュニケーションをとることが困難。言葉の遅れがあるケースもあるけれど知的障害を伴わない。

・アスペルガー症候群

相手の表情やその場の空気を読むことが苦手。知的障害は伴わず天才的な一面を発揮するケースがある。

これらの特性を合わせたものが自閉スペクトラム症と呼ばれています。

(出典:国立障害者リハビリテーションセンターホームページ http://www.rehab.go.jp/ddis/understand/whatsdd/)

自閉スペクトラム症の特性

誰しも生まれながらに持ち合わせた個性や性格がありますが、自閉スペクトラム症も生まれつきの症状であり個性や性格に近いものです。

大きな特性としては、物事や興味があることに対してのこだわりが非常に強く、人とコミュニケーションをとることが困難であることです。

その他の特性として

・言葉の遅れがある

・名前を呼んでも振り向かない(耳が聞こえていないと勘違いされてしまうこともあります)

・物事に熱中するとまわりが見えなくなり自分の世界に入り込む

・音や匂いに敏感である

・他人からの接触を嫌がる

・同じ言動を繰り返す

・痛みに鈍感である

・他人への興味がなく、ひとり遊びが得意

などといった特性が見られます。

しかし自閉スペクトラム症は、「物事へのこだわり」「コミュニケーションが困難」といた大きな特性は持っているものの、その症状の現れ方は個人により違いますので、この症状があるから自閉スペクトラム症だ、という断定はできません。

自閉スペクトラム症の診断基準

上記でもお伝えしたように、当てはまる症状があるから自閉スペクトラム症だと断言することはできません。

すべての自閉スペクトラム症の特性はあくまでも診断基準のひとつになります。

診断する際は、詳細な症状を聴取したり行動観察やテストをした上で診断されます。

主な診断基準は

・社会性コミュニケーションや対人関係おける持続的な障害がある

・一定の行動や興味があるもの、活動において反復行動がみられる

・年齢が小さいうちから症状が出現していて、年齢が大きくなっても変わらず症状が出現し続けていること

・学校や社会、その他の重要な機能に重大な影響を引き起こしていること

この4つが主な診断基準とされています。

この診断は必ず医師が行うものであり、医師免許を持っていない人が判定を下すのは誤っています。

得意とするのは目で見る力

自閉スペクトラム症の子どもは、言語の理解が苦手とされますが、目で見て理解することや目で見たものを鮮明に記憶する能力が優れているケースが多くあります。

言葉ではなかなか伝わらない、理解できないことでも、絵や字に変えて伝えることで理解しやすくなるというのも自閉スペクトラム症の特性のひとつです。

見る力が非常に優れていて、目に見えないものに対しては不安や緊張を抱きやすくなります。

例えば「1時から避難訓練です。放送があったら校庭に集まりましょう。」と言われても、いつもと違う急なスケジュールの変更に対して不安になりパニックを引き起こしてしまう可能性があります。

そういった時でも事前に「ひなんくんれん。1じから。」と簡単に紙に書いて見せておくことで先の見通しをつけることができてスムーズに行事に参加できるようになります。

早期発見・早期療育の重要性

自閉スペクトラム症を含む発達障害は早期発見および早期療育が重要と言われます。

この早期発見や早期療育というのは、年齢が小さいうちに早く見つけなさいという意味合いではなく、発達障害かもしれないと感じ始めた頃から早めに相談・受診することを心掛けるようにしましょうという意味が込められています。

早期療育を始めることで、早い段階でお子さんに合った対応法や療育を始めることができるので、お子さん自身が困りごとや辛い思いをする場面が減ります。

親のためではなく「お子さんが自立できる将来」のために早期発見、早期療育が重要とされているのです。

それに伴い身近な存在である保護者の方々が発達障害に対して正しい知識を取り入れ、適切な支援やサポートをしていくことによりお子さんが自立した生活を目指すことができます。

いずれにせよ、気づいた瞬間、支援を始めた瞬間がその子にとって一番の早期発見・早期療育に繋がるので、1歳で話せないから発達障害かな?などと焦る必要もありませんので、安心してください。

さいごに

自閉スペクトラム症は、お子さん自身の年齢や環境、性格によって現れる症状はさまざまです。

大人になってから、コミュニケーションがとれない、なんだか人とは違う、困りごとが多い…などで自閉スペクトラム症を診断される人もいます。

ですが、自閉スペクトラム症と診断をされていても、さまざまな工夫や周りの理解や協力を得ながら支障なく日常生活を過ごしている方もたくさんいます。

まずはお子さんの特性や症状を把握して、発達障害が疑われる場合は早めに専門機関へ受診・相談をしましょう。

大切なのは診断ではなく、「将来の自立のために支援していくこと」です。

特にハナブーは今の出来るようになることよりも、その子が自立して社会に出るために必要なスキルを意識して支援にあたっています。保護者は目先のことに目が行きがちですが、そういった広い視野を持つことも支援者として重要な視点のひとつになると感じています。

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