こんにちは、ハナブーです。
今回は療育現場でよく職員に言われやすい「低緊張」というワードを深堀していきたいと思います。
皆さんは、職員と話す時や、病院の先生方に、「~さんは低緊張です。」などと言われた経験はございませんでしょうか?
ちなみに私は「低緊張」という言葉自体、保護者と話す際には使わないものの、遠回しに「筋力強化しましょう」とか「全身運動を行う遊びを取り入れていきます」などと伝えたりします。
この説明の方が相手に分かりやすくて理解を得られやすいからです。
しかし、筋力強化≠筋緊張ということは押さえておいてください。
では一体「低緊張」とは何なのでしょうか?
発達障害にみられやすい「低緊張」
ちなみに私も低緊張気味です。後述しますが、座っている時は姿勢が崩れやすいですし、立つのもすぐ疲れます。自宅では寝そべって活動している事が多いです。
低緊張とは、常時、筋肉の張りが弱い状態のことを指します。
人間にはそれぞれその人の丁度良い筋肉の張り具合があります。
筋肉の張り具合いを100がマックス(過緊張)だとすると低緊張は~60くらい、普通の筋緊張の人は~80くらいのイメージで良いと思います。(僕は多分70くらい)
良く例えられやすいものとしてパンツのゴムをイメージしてください。
普段私たちが履いているパンツは肌に食い込まず、でも下にずれず。いわば丁度良い張り具合。
でもそのゴムがきつすぎると肌に食い込んで痛い(過緊張)ですし、緩すぎるとずれ落ちてしまう。(低緊張)
低緊張とはそんなイメージです。
よく誤解されがちですので、何度も言いますが、筋緊張≠筋力です。
なので、筋力強化しても筋緊張は変わることはほとんどありません。
医学的には発達障害の児童は低緊張である事が多いと言われています。
脳機能や神経伝達に何らかの障害があり、筋肉から脳に伝わる命令が弱いとされています。
ではその低緊張にはどのような特徴があるのでしょうか?
姿勢の観察
低緊張の子に現れやすい特徴は、年齢によっても変わりますが、一般的には姿勢で観察します。
椅子に座れる子であれば、「姿勢が崩れやすい・背もたれに寄りかかっている・机にもたれたり、足を上げたりする」
![](http://4.bp.blogspot.com/-iScvOHodpgc/VozfjsBkzmI/AAAAAAAA2mc/6nf2JYwtm9A/s800/shisei_isu_boy_bad.png)
また、椅子に限らず座っている姿勢が安定せずもじもじしていたり、寝そべることが多いことも特徴です。
![](http://1.bp.blogspot.com/-0JR59EraoRk/VyNdjHEocNI/AAAAAAAA6OI/LyK6AaNofhgIULk_BQRGX5gSNdYicQ00wCLcB/s800/pose_binbou_yusuri.png)
乳児の場合は、首すわりが遅かったり、あおむけで遊んでいても腕や足を持ち上げて遊ぼうとしないことも特徴の一つです。
このように専門職でなくても姿勢や遊び方からその子の筋緊張の様子を観察できることがあります。
低緊張だと色々な生きづらさが生じる
低緊張は日常生活において様々な生きづらさを痛感します。
まず、個人的にはこの問題が一番かと思うのですが、
低緊張は障害として認知や理解が深まっていないので、周りの理解を得られにくく、「やる気のなさ」や「怠け、躾の問題」とされやすい事から生きづらさを体感することもあります。
他にも、「姿勢の悪さ」「転びやすさ」「疲れやすさ」「手先の不器用さ」などに繋がることがあり、その多くは就学してから顕著に現れることが多く、学習機会を逃してしまったり、先生からの指導やいじめの標的にされてしまう危険性もあります。
「低緊張」という言葉が独り歩きしないように適切な知識を持った周りの対応がその子を支援するうえで重要な視点になってきそうですね。
では、「低緊張」にはどのようなアプローチを行ったらよいのでしょうか?
筋緊張を高めるには
筋緊張は筋力とイコールではないことを前半で説明しました。
しかし、私が保護者に説明している時は「全身運動を伴った遊び」や「粗大運動で筋緊張高めていきます」などと言った文言を使います。
ここがミソで
筋力強化を目的としないけど、筋緊張を高める遊びは副次的に筋力強化も期待できる
ということです。
筋緊張を高めるために意識することは
・持続した筋活動を行う運動
・揺れる刺激(前庭刺激)を活用した遊び
です。
”持続した筋活動を行う運動”を少し専門的に説明すると、抗重力姿勢での運動経験による動きで、関節・筋肉に適度な筋緊張を与え、神経伝達の促通を図る。
と言った感じでしょうか?要は重力に逆らった姿勢を取り続け、筋肉の張り具合を調節させる命令を適切に行うような遊びです。
遊びの一例としては、ロープや大人にしがみつく・相撲・綱引き・ジャングルジム
などです。特別なことはせず、よくある遊びで筋緊張を高めます。
次に”前庭刺激を活用した遊び”について詳しく説明すると、前庭感覚(頭部の傾きや上下左右の変化、スピード感)など感覚入力による体幹筋の調節を行い、身体軸を正常に維持を図る。
です。要は耳の奥にある前庭覚(身体の傾きを察知する感覚)を利用して身体を重力に対してまっすぐに保つ働きを促す遊びです。
例としては、トランポリンやバランスボールで跳ねる・スクーターボードで滑る・ブランコを漕いだり滑り台を滑る
などです。道具は要しますが特別な遊びは行ってませんね。
これらの多くは公園や幼稚園保育園などで行われる遊びになります。全身運動になるので身体作りや筋力強化にもつながります。
低緊張のお子さんは疲れやすかったりして運動経験が他の子よりも少なくなりがちなので、本人に出来る遊びから取り入れて活動してみるのも良いかもしれません。
まとめ
今回は「低緊張」の意味やその支援方法を紹介しました。
基本的には普通の遊び方で大丈夫です、ただその子のレベルや体力に合わせた遊びの設定を行う必要がありますね。
実際に診断名や、支援者の口からは言われずとも発達障害を持ったお子さんは低緊張気味であることが多いです。
また、先天性の疾患を抱えているお子さんも低緊張の問題を抱えている方が多くいます。
もし、うちの子はどうなのかな?と思ったら病院の先生や支援者に聞いてみても良いかもしれません。
ずっと寝そべっていたり、机に脚を上げる行儀の悪さが低緊張からだと分かると少し心も軽くなるのかなって思います。
決して、躾や育て方の問題ではありません。安心してください。
その子の特性だと分かると、気になっていた行動もある程度寛容的になれそうですよね。
秋がどこいった?みたいな気候が続きますが、身体には気を付けてお過ごしくださいね!
ここまでご覧いただきありがとうございます。それではまた!
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